「あなたは一日にどれだけ水を飲んでいますか?」
一般成人の1日に必要とする水分量は、1.5~2リットルといわれています。人体の25%が個体(溶質)75%が水(溶媒)、脳組織は85%が水です。ぺットボトル入りの炭酸飲料、カフェインを多く含むコーラ、コーヒー、紅茶、緑茶、アルコールというのは、水分ですが、水ではありません。水だけを毎日1.5~2リットルを飲んでいる人はそんなに多くはないでしょうし、むしろ全く飲まない人もいるかもしれません。
飲水法
飲水法を提唱したのは、アメリカを活動拠点としたイラン人医師バトマンゲリジ氏です。彼は人間の体にとって、「水」がどれほど重要なものであるか、医学的に研究し、現代人が苦しむほとんどの病気の原因は「体細胞の慢性的な水不足による代謝障害が原因だ」と主張しました。彼の著書は、アメリカで100万部突破の大ベストセラーになり、たくさんの病が救われたといいます。著者は、イラン革命に巻き込まれ、獄中で胃潰瘍に苦しむ囚人に水2杯を飲ませたので癒せたのをきっかけで、水だけで3000人の患者を治療し、医学と生理学と臨床面から水の薬効を解明し、水に秘められた治癒メカニズムを体系化しました。
すべてが水不足ということは大袈裟かもしれませんが、飲水法をとりいれることは、とても有用であると思われます。実践するにあたって下記を参考にしていただければと思います。
水:一日に体重の30分の1から50分の1の水(個人差があり。)たとえば60キロの方では、2リットル、体重45キロの方では、1リットル。
天然塩:一日1〜2グラムを同時に摂る。(精製した塩ではない塩。)
毎食30分前にグラス1杯、2時間半後にグラス1杯飲む。カフェイン入りの飲料は水に数えません。飲水療法は、腎機能、心機能が正常に働いているかチェックすること。
*はじめからそんなに水が飲めないという方は、一日コップ3杯からすこしずつなれるようにしてみてください。
水の充分な摂取は・・・
胃腸の流れを整え、栄養と酵素の供給、老廃物、毒素の排泄をスムーズにし、腸内細菌のバランスを整え、免疫システムにおいても、水は重要は役目をします。
たとえば、気管に充分な水を潤ってないと菌、ウイルスに対する抵抗力が低下します。皮膚に充分な潤いがないと、さまざまな雑菌に対する抵抗力が低下し、遺伝子が異常を起こし、癌細胞に変化することもあるようです。
水が充分に供給されないと・・・
まず、体の生命維持にとって、重要な部分に優先的に供給されます。脳にまず、供給。脳の組織は85%の水を含んでいる。脳で産生された神経伝達物質は、水を媒体として、全身の末梢神経へ、脳の命令を伝えています。次に、心臓→肺→肝臓、腎臓→筋肉、骨→皮膚の順に供給されると彼は著書で述べています。
つまり、代償性に脳に血流を送るためにいろんなホルモンを分泌し、そのホルモンの影響で血圧があがったり、体内にストレスを与えることになります。
水のかわりにならないカフェイン飲料
カフェインは疲れていても脳と体を刺激する強壮成分も含まれています。コーヒーを飲むと眠気がなくなるというのは、そのためです。しかし、この刺激は一時的なもので、結果的には、心臓の筋肉などに負荷をもたらすため、不整脈の原因になったりしますし、興奮により過剰にエネルギーを消費してしまい、かえって、老化、疲労感を促進することになります。さらに、カフェインは脳にも直接作用し、利尿作用もあります。水の代用と考えるより、むしろ、体内の水の枯渇を招く物ととらえ、飲水法を実践するとともにカフェインをなるべく控えることをお勧めします。また、カフェインは、依存性があり、学童期からこのような刺激をうけるのは、好ましくありませんし、成人でも、中にはコーヒーを一日に何倍も水かわりに飲んでいる方もおられるようですが、これは、深刻な脱水を招くことになりますので、健常人でも一日1杯、そして、病気の方は、カフェイン ゼロの日をつくるなど、なるべくカフェインを避けることをおすすめします。
アルコールを飲んだ翌朝は脳が委縮している
お酒を飲んだ翌朝、喉が渇くというのを経験した方は多いでしょう。アルコールには利尿作用に加え、アルコールの分解過程で発生した毒素を中和、排泄するためにも体の水分が使われます。さらに、呼気に含まれるアルコールにより、呼吸のたびにのどや鼻の粘膜から蒸発する水分量が多くなります。
またアルコール摂取した直後は、血管が広がり、血流が活発になるので、心拍数が上昇し、それに伴って呼吸回数も増えます。呼吸回数が増えれば、気管から失われる水分量はさらに多くなります。そして、血流が活発になると、体温が上昇するので、体温調節のために皮膚からでる汗の量も増えます。こうして体の中の水が大量に失われ、脱水が進みます。脱水状態がある程度進むと、今度は活発になっていた血流にリバウンド現象が起きます。つまり、急激に進んだ脱水状態から体を守るために、血管が一気に収縮し、血流を制限するようになるのです。血管が収縮し、毛細血管への血流が滞ると、多くに細胞が水不足による機能低下を起こします。そして、こうしたアルコールによる脱水は、多くの水を含む脳にも及ぼします。アルコールを飲んだ翌日の不快な症状は、おもに体内に残った分解しきれていないアセトアルデヒドによるものですが、いつまでも残る割れるような頭痛は、実は脳細胞の脱水によるものです。
アルコール依存症の患者さんは、脳が委縮がおこることが知られていますが、これを繰り返してついには戻らなくなってしまった脱水の結果です。お酒をたまに飲むときは、飲む前に充分な水を飲むことをおすすめします。
イラン人医師バトマンゲリジ氏の研究
唾液腺のキニンの働きで水不足でも、即、喉が乾かないので要注意
唾液は、物を食べると分泌しますが、体が深刻な水不足であっても唾液腺は体内の塩分の不足を感知する能力があるため、ナトリウムの不足があるとキニンという物質が作り出され、血行と唾液腺での唾液の産生を促します。
だから、喉が渇いたときだけ飲んでいると、すでに水不足は進行していることもあります。
水不足によりヒスタミンの産生
水不足→ヒスタミンの産生が発動、強化され、ヒスタミンの司令を受ける→神経伝達物系が活発になる。→バソプレッシン、レニン、アンギオテンシン、プロスタグランディン、キキニンにより、下位系統を動かす。→アレルギー、ぜんそく、慢性の痛み、消化不良(胸やけ、胃炎、十二指腸炎)リウマチ痛、腰痛、心痛、頭痛、歩行痛。
*動物実験では飲水料を増やすとともに、ヒスタミンの産生も低下することが確かめらています。
食道裂孔ヘルニアも、水不足が一因
膵臓はのんだ水の量に応じて、腸より、モリチンというホルモンが分泌され、重炭酸液を産生し、胃の強酸性の内容物を腸にいれることができます。
また。モリチンは、腸のリズミカルな収縮、上から下へと向かう蠕動運動を起こすことによって、腸の中身を流す弁を随時開閉します。これが水不足によりうまく分泌できないと腸壁には酸に対する保護膜がないため、幽門は収縮、噴門部は緩み、裂孔ヘルニアの原因になります。
リウマチ関節炎も、水不足が一因
患部の軟骨の表面が水不足に陥っていると、軟骨に必要な血清を関節嚢の血管から補強せざるを得なくなり、関節嚢が腫れてしまいます。
高コレステロール血症も、水不足が一因
水不足でコレステロールが高い場合は、長期間飲む水の量を調節することによって、細胞が充分に水和するようになれば、細胞壁からの水の透過を防ぐコレステロールの壁も不要になり、次第に産生されなくなっていくことが可能です。
喘息も、水不足が一因
喘息では、肺組織が産生するヒスタミンの量が増え、気管支を収縮させることが知られています。
*インスリン依存性糖尿病も脳の脱水が一因
非インスリン依存性糖尿病は、神経伝達系、特にセロトニン作動系に影響を与えるほど、脳に水が不足した結果とされます。脳のエネルギー量と水代謝にはブドウ糖が必要といわれていますが、体に水と塩が不足してはじめて、ヒスタミンが活発になり、プロスタグランディンを産生し、膵臓から重炭酸溶液が作られるように、膵臓の血行をよくすると同時に、膵臓のインスリン産生を抑制してしまいます。
うつ病や、精神症状にも脱水が一因
トリプトファンはDNAの転写ミスを修正する最も重要なアミノ酸です。トリプトファンは、セロトニン、トリプタミン、インドラミンなどの神経伝達系の産生に関与し、塩の貯蔵量を保つ働きがあるとされています。
飲水により脳のトリプトファンが輸送されることがわかっていますが、脱水になると、脳内のトリプトファンのバランスを失います。そして、うつ病や、精神症状にも大きく関係してきます。