心と身体の健康のための養生法・まめ知識

楽しみ、笑い、感謝

心のあり方が体や健康と関係する

現在、患者の心理状態と治療効果、「心と体」の関係について多くの研究がなされています。例えば、イギリスでの研究例で、早期乳癌62例を癌をどう受け止めたかで4グループに分け15年後の生存率を比較したところ次のような結果を報告しています。

  • ファイトをもって積極的にガンに対応した人は80%生存
  • 病気を拒否した人は50%生存
  • 自分では何も取り組まないで医者任せにした人は30%
  • 絶望感に陥った人は17%

知名度の高い心理療法としてサイモントン療法がありますが、これは米国の心理社会腫瘍学の権威カール・サイモントン博士により開発された、がん患者さんとそのサポーター(家族等) のためのヒーリングプログラムです。 近年ではがんのみならず、ストレスに起因する あらゆる病気に対し 『癒し』 のプログラムが提供されています。

サイモントン博士は米国では優秀な放射線腫瘍専門医として、癌治療の第一線を行くドクターでしたが、臨床の場で患者の治療を重ねるにつれ、病状は全く同じ患者でも、回復力に雲泥の差がみられるという矛盾を何度と無く目の当たりにすることになり、自分の施す医療に行き詰まりを感じるようになりました。全く同じ症状の患者さんに対して同じ治療を行っているに関わらず、成果が出て健康を取り戻す患者さんと、全く成果が出ずに、死を迎える患者さんとにわかれるのです。ここで、患者さんの精神・心理状態が病気の経過の大きな違いをつくるということに気付きました。希望をもって治療、または日常生活に取り組む人と、絶望感に苛まれながらそうする人では病気の回復に大きな差が出たのです。

現代では様々な科学的リサーチにより、精神面(心理面)、感情面が人間の免疫機能に大きな影響を及ぼしていることが証明されています。病気というものは、その症状が緩和される、あるいは治まるだけでは治癒とはいえません。物理的に癌細胞が死滅するだけでなく、その癌細胞をつくりあげた原因から癒さなければならないのです。私達の心も体も、人間そのものが治癒されて、初めて真の健康が得られると考えられます。
単純に考えても、考えすぎや心配性、無気力などストレスフルな心理状態を、物事に積極的で生きがいを感じ楽しめるリラックス型の心理状態にすることは心身症治療の観点から考えても非常に意義のあることです。
1988年にWHO(世界保健機構)委員会が提案した「健康の定義」

スピリチュアリティは「霊的に向上するための道」

例えば、ストレスや心的苦痛の原因を考えます。現代においてストレスは単に「暑い・寒い」とか「痛い」などの肉体的なストレスだけでなく、それ以上に様々な日常的な場面で生じる精神的ストレスが多くあります。私たちはそれをストレスと呼ぶことが普通です。その原因となっているのは、実際の出来事だけでなくその人の考え方や価値観にも大きく影響されます。例えば病気についてでさえ、国や文化、価値観により捉え方は様々です。ある人はそれを成長のためのステップや人生の挑戦として前向きに捉え、ある人はそれを単純に否定的に苦痛としてのみ捉えます。これは考え方や価値観によるものです。ちょっとした考え方の違いにより、苦痛であるかどうかが変わるのです。

1988年にWHO(世界保健機構)委員会が提案した「健康の定義」によれば、「健康とは単に疾病または虚弱でないばかりでなく、身体的・精神的・社会的・および霊的(スピリチュアル)にダイナミックに安寧な状態である。」とあります。

ここでは単に精神的だけでなく、「スピリチュアル(霊性)」というような部分にまでの言及がなされています。スピリチュアリティは「霊的に向上するための道」を意味しますが、そこには人間をストレスや苦痛から解放するための様々なヒントがあります。伝統的な宗教や教え、呼吸法や瞑想法、または剣道や弓道、茶道のようなものの中に、人を精神的苦痛から救い、こころを強くするヒントが含まれています。

ホリスティック医療は、人間を肉体だけでなく精神や魂まで含めた全人的な総体として考え、そして治療します。ホリスティックとは「全体的な」という意味です。そのような見地に立ち、心身ともに健康を取り戻すために、治療全体を考えます。

笑い、楽しみ、感謝。

感謝は最大の武器

わたしたちは、ときには、意気消沈してしまうこともあるかもしれません。こんなとき、「うまくいかない。」「できない。」「最悪。」「いやだなー。」「失敗する。」「怖い。」「不安だ。」「どうしよう。」など、マイナスの想念を抱いたり、言葉に発することがあります。先達の思考の耽溺は、「今、ここ」 から、幻想へ、つまり非現実な領域につれだしてしまい、おそらく治癒の妨げになり、間違いなく苦悩の原因となるといってます。一度描いた想念は、潜在意識に残り、そのひとの健康にもマイナスを与えてしまうこともあります。つまり、絶対病気がよくなると思うとよくなるし、悪くなっていくと思うと悪くなるというように 思いが現実化するということです。

アスリート選手が記録を出す時には、ありありと自分の成功するイメージを視覚と感覚、高揚感を交えて、イメージしていたとよくききます。悪い思考を止めることは無理ですが、思考をうまく扱うテクニックを覚えることで、人生にとって、また、病気を克服することにおいても最大の武器になります。もっとも問題なのは、悪いことを思うことではなくて、ネガティヴなマインドを客観的に見れずに野放しにしていくことです。

わたしは、夜寝る前に、また朝目覚めたときに、潜在意識に最高の想念、言霊である「ありがとうございます。」をいうことをお勧めします。これは、昔、医者であり、聖者カリアッパを師にして、様々な叡智と体験を受取り、当時死の病とされていた肺結核を克服した中村天風さんが提案していることです。
また、中村天風さんは、もし、マイナスの想念や、言葉を口にしてしまったら、それよりも強力なプラスの想念や、言葉で打ち消すことができると教えています。具体的には、「なんとかなるだろう。」「今だけそうだけど、これからはよくなる。」「心配してもなるようにしかならないから心配するのはやめて、ベストを尽くそう。」「不安はつきものだけど、やがてなくなり成功する。」「怒るのは、もうやめて、許してあげよう。」「いま、もうだめだ」など、うまくキャンセルして、いい言霊パワーをつかってみましょう。どうしても切り替えないときは、呼吸瞑想法をしてみるのもよいでしょう。

笑い、笑顔は、物事を好転させる力がある。

そして、心の底から笑えることを見つけることをおすすめします。そして、自分がマイナス想念を抱えているときにも鏡の前で口角をへの字になってないかチェックしてみましょう。人から好感が得られる楽しい笑顔をつくることで、想念も明るくなり、物事が好転することでしょう、そして、病気の治癒につながるでしょう。

人生は楽しいもの、美しいもの。

今の自分のおかれている環境に満足できないでいる、仕事においても、楽しくない、これが持続してやがて、うつ症状で仕事をあきらめざるを得ない人がたくさん、いらっしゃいます。働きすぎや過労、対人関係での不具合など様々な要因で、やる気が損なわれています。そして、思うようにやる気がでないことにもストレスを感じて、自分のダメさ加減をどんどん苦痛にしてしまうことになります。年間の自殺者も増加の一途をたどっています。
こういう状況になると、すでに脳からのセロトニンという物質がでなくなり、代謝障害として治療が必要となります。しかし、そこまでいかなくても潜在的にうつ症状である人は現在大変多くなっています。楽しむことや夢中になれる趣味を見つけることもひとつですが、問題となることを、見つめることや気づいてあげることで、私たちの本質に磨きがかかり、問題を克服する力を養うことができます。

家族をもち、仕事を持ちながら多くに苦労をしなければならないのはなぜでしょうか?
いったい何のためにこんなに苦労して生きなければならないのか?

失敗の連続でおちこんだときに、私たちは誰もが一度はこう考えたことがあるのではないでしょうか?何のために生きているとか自分はどこからやってきてどこにいくのだろうか?

この答えとして、実はその疑問を探究することこそが本当は私たちの人生の仕事だと、古代の多くの賢者達が教えています。そのためには、この世界の2極性、つまり、いいこともあるが悪いこともあり、暑い日もあれば寒い日もあり、失敗もあれば成功もあり、苦労もあれば楽もある、という体験をすることが必要だというのです。
そして、その二極性の体験を通して、どんなときにも思考に惑わされず、自分を内観していくことで、心を静めて、本質に近づいていくことが大切だというのです。私たちが見ている現実は、本質的なものではなくそれに至るための試練を体験する道場のようなものであり、それに翻弄されることのない自分を築いていくことを試練として与えられているというのです。
そうすれば、現在の問題は、すべて問題ではなくなるということになります。人生は、苦しいことばかりではなく、視点を変えれば、楽しいものにも美しいものにもかわります。仏陀がこの世の人々の苦しみを悲観して、その生の意味、なぞを探究し、真理にいたったときに、この世の中はなんて美しいのだろう。といったといいます。

その境地に達したものにしかわかならいのですが、そういう視点があるということを知るだけでも少しは励みになるのでないでしょうか?