心と身体の健康のための養生法・まめ知識

エクササイズ

1. ウォーキングはすべての運動に勝る!

ひとは適度な運動と十分な休息の機会を与えることによって、自発的治癒が促進されるようになります。適度な運動は、体の運動は血液循環をよくし、心臓のポンプ作用を強化し、動脈の弾力性を高め、呼吸器系の働きを円滑にし、酸素と二酸化炭素の交換を促進して、体の代謝産物を排除します。また、脳からのエンドルフィン分泌を促進し、抑うつ状態を改善し、気分を爽快にします。そして、代謝とからだ全体のエネルギー効率を高めます。さらに、ストレスを緩和して、体の治癒力を高めます。

規則的な運動は、病気の治癒において、欠かせません。
人間は歩くようにできていて、直立二足歩行は複雑な行動であり、歩行のためには、感覚経験と運動経験との高度な機能的統合が要求されます。
つまり、視覚情報、触覚情報、筋肉の自己受容体情報などによる刺激と組み合わされた四肢の交差運動が神経系に効果を得ることができます。凹凸のある重力場の表面上で姿勢をかえ、移動しながら、無意識のうちにバランスを保つために、脳は膨大な情報処理を必要とします。

心拍数と呼吸数をあげるような歩き方をすれば、体の有酸素運動が得られます。したがって、できるだけ早いペースで、必ず登り坂を選ぶようにするのがいいでしょう。また、理想的なエアロビック(有酸素)運動にするためには、4、5キロを休まず45分歩くことで満たされます。しかし、早いペースで歩くことができない方は、ゆっくりでも上記の効果は、得られますので、ご自分の体調に合わせたペースで歩きましょう。また、どうしても、外出ができない方でも、自宅で、腕を大きく振って腕のふりを呼吸に合わせて、足踏みをするのもよいでしょう。

他にもいろいろなエクササイズがあります。エアロビクス、エクササイズマシーンもよいでしょう。しかしウォーキングは、両手を振って平衡感覚を保ち、歩き続けるこの運動は、他の運動では、得られない機能が無意識に使われ、訓練され、あらゆる機能の調整に役立ちます。

2. 4つの体操

二本の足で直立歩行をする人間の骨格は、背骨や腰、足に、どうしても大きな負担がかかり、歪みが生じやすくなっています。その歪みが内蔵の故障や血液の循環悪化を引き起こし、さまざまな病気を招きます。これは、背骨の歪みを改善し、血液の循環をよくする体操です。

金魚運動

背骨の左右の歪みをとり、全身の神経機能を高めます。特に腸の動きをよくして、便やガスの排泄を促す効果があります。

金魚運動
平床に仰向けになり、自然にまっすぐ伸ばした身体全体を、金魚のように左右に揺する運動です。両手は首の下の真ん中で組み、足は足首から先を直角に立てます。この体勢で、すばやく左右に身体を揺らします。
朝・夕1回 各1~2分行ってください。

毛管運動

心臓はポンプのように、血液を全身に行き渡らせる…これが常識となっています。しかし、全身に張り巡らされた毛細血管の表面張力が血液循環の役割を担っています。そこで、全身51億本の毛細血管の70%が集まっている四肢(手と脚)を上に上げて小さく振動させることで、毛細血管の働きを高め、血液循環をよくしようとするのが、この毛管運動です。
心臓病・血液疾患など循環器の病気に効果があります。朝・夕1回 各1~2分行ってください。

金魚運動
平床に仰向けのなり首に硬枕を当て、両手・両足を肩幅くらいに開いてまっすぐ上に上げます。足首を曲げて、足の裏が水平になるように上に向けます。この状態で、手と足を細かく振動させます。
朝・夕1回 各1~2分行ってください。

合掌合蹠方

両手両足を合わせることによって、体の左右の手足の神経や筋肉の状態を整え、特に骨盤内の臓器の機能を高めるので、月経不順、不妊症など婦人病に効果があります。妊娠中の方が行えば、胎児の発育もよくなり、安産はまちがいありません。

合掌合蹠方
平床に仰向けのなり、両手を胸の前で合わせます。このまま、合掌した両手を頭の上のほうまで思いっきり伸ばすのと同時に、曲げていた足も伸ばします。この時かかとが離れるまで伸ばさないように。この屈伸を1回につき10回前後繰り返します。
終了後、合掌・脚を縮めたまま2~3分静止してください。

背腹運動

左右に体を揺らす運動は交感神経を、お腹を前に突き出す運動は副交感神経を刺激します。この運動には準備運動があります。

  1. 両肩を上げ下げする(10回)
  2. 頭を右に曲げる(10回)
  3. 同じように左に曲げる(10回)
  4. 頭を前に曲げる(10回)
  5. あごを引いて頭を後ろにゆっくり曲げる(10回)
  6. 頭を右後方へ回す(10回)
  7. 頭を左後方へ回す(10回)
  8. 両腕を水平に上げ、顔を左右に1回ずつ回す
  9. 両腕をまっすぐ上に上げ、顔を左右に1回ずつ回す
  10. 親指を中に入れて強くこぶしを握り、上腕を直角に曲げて水平におろす
  11. そのままの姿勢で、腕全体をできるだけ後ろに引きながらあごを突き上げ頭を後ろに反らせる

背腹運動
脊柱と腹の運動を同時に行います。まずは正座します。上体をまっすぐにして体重を尾てい骨の上にかけ、膝はこぶしを4個分くらい広げます。そのまま体を左右に揺らしてください。体を左右に傾けた時、おなかを押し出すように意識しましょう。
左右1往復を1回と数えて、1分間に50回くらい、10分間で500回くらいが標準ですが、最初は200回でも300回でも、無理をしないで行いましょう。運動中いつも「良くなる、能くなる、善くなる」と念じていると、効果が一層上がります。