中医学漢方症状別治療ご紹介

うつ症状の漢方治療

うつ病の分類

現代ストレス社会においては、うつ病は臨床でよく見られる病症の一つで、抑うつ感、情緒不安定、怒りっぽい、のどの異物感、不眠などいろいろな症状が現れます。
中医学では、うつ病の原因はストレスや七情(喜・怒・憂・思・悲・恐・驚)の過度変化によって心がのびやかでなく、気の流れが鬱滞して起こると考えられます。初期では、肝気鬱結・気滞痰鬱など実証タイプが多く見られ、長期に渡って改善しないと、脾・腎に影響を与えて気血・陰液不足を生じ、虚実兼証を呈する虚証タイプが多く見られます。

うつ病の治療

うつ病の治療では、早期治療することが大切です。

実証タイプ

肝気鬱結(精神的ストレスや怒りなどによるタイプ)

症 状
憂うつ感・情緒不安定・ため息・イライラ・怒りっぽい・胸脇腹の脹痛・食欲不振・口渇・口が苦い・顔面部が紅潮・のぼせなど。
原 因
憂うつ・怒り・ストレスなどにより、肝気のスムーズな流れが傷害され、肝気鬱滞を生じ、鬱証が発症します。
治療法
鬱滞した肝気を改善して、気の巡りがスムーズにし、うつ状態を解消します。
処 方
四逆散・加味逍遙散・龍胆瀉肝湯・柴胡加竜骨牡蛎湯・抑肝散など。/dd>

気滞痰鬱(気分が落ちこみ・のどの異物感を伴うタイプ)

症 状
気分が落ちこみ・抑うつ感・のどの異物感・胸がもやもやして脹る・悪心・食欲不振など
原 因
肝気鬱結の状態が改善されないと脾に影響し、水湿の運化が失調すると痰湿の停滞を生じ、鬱証が発症します。
治療法
痰湿を除去し、気の巡りを良くして、うつ状態を解消します。
処 方
半夏厚朴湯・竹筎温胆湯など。

虚証タイプ

心脾両虚(過度な思慮や心労などによるタイプ)

症 状
元気がない・落ち込みやすい・不安・不眠・多夢、動悸・健忘・めまい・顔色が白い・食欲不振・疲れやすい・軟便など。
原 因
過度な思慮・心労・出血などにより心血を消耗して、心神を栄養できず、心神不安に落ってうつ証になります。
治療法
気血を補い、心・脾を養い、心神が安定させてうつ状態を改善します。
処 方
帰脾湯・加味帰脾湯など。

陰虚火旺(足腰が弱い・性機能障害を伴うタイプ)

症 状
情緒不安・興奮しやすい・イライラ・不眠、寝汗・のぼせ・耳鳴り・めまい・目がかすむ・動悸・足腰が弱い・遺精・早漏・月経不順など。
原 因
気鬱状態が長期間改善されないために火を生じ、その火が肝腎の陰血・水分を消耗し、心神の乱れが生じ、うつ証になります。
治療法
陰を補い、虚熱を清め、心神を安定させてうつ状態を解消します。
処 方
六味地黄丸・六味地黄丸+加味逍遙散・六味地黄丸+柴胡加竜骨牡蛎湯など。