中医学漢方症状別治療ご紹介

頻尿の漢方治療

頻尿とは

頻尿は病名でなく一つの症状です。通常、私たち一日の排尿回数が昼間は5~7回、夜間は0~1回とされています。頻尿とは、昼間や夜間の排尿回数が通常より多くなった状態です。

冷え症の原因と治療

頻尿の原因は水分の撮り過ぎ、膀胱炎などの感染症、前立腺肥大、加齢、排尿に関係する筋肉の機能低下、神経の病気、心因性のものなどさまざまです。
中医学では、頻尿は五臓六腑の機能失調と関係があり、特に腎と膀胱です。治療するには個人の体質・症状を重視し、体質を改善しながら、排尿にまつわる諸症状を緩和します。

1. 腎陽虚による頻尿(高齢者で冷えを伴う慢性頻尿タイプ)

症 状
夜間頻尿・尿量が多く色も薄い・尿が漏れやすい、手足や下半身が冷える、寒がり、足腰が重だるい、下半身にむくみなど。
原 因
老化、慢性疾患などで体力が衰弱し、腎の陽気が不足し、体を温める力が低下になります。その影響が膀胱に及んで、頻尿になります。
治療法
体を温め、腎陽を補い、腎の働きをよくしながら頻尿を改善します。
処 方
八味地黄丸・牛車腎気丸など。

2. 腎陰虚による頻尿(排尿時に軽い熱感があり、ほてりを伴う慢性頻尿タイプ)

症 状
頻尿・尿色が濃い・尿量は少ない、めまい、耳鳴り、のぼせ、手足のほてり、寝汗、口やのどの乾き、足腰が弱いなど。
原 因
老化・過労・慢性疾患などで腎の陰精が不足になり内熱が生じます。その影響が膀胱に及んで、頻尿になります。
治療法
内熱を冷まし、腎陰を補い、腎の働きをよくしながら頻尿を改善します。
処 方
六味地黄丸+猪苓湯・知柏地黄丸など。

3. 膀胱湿熱による頻尿(排尿時に強い熱感・排尿痛を伴う急性頻尿タイプ)

症 状
頻尿と共に、排尿時に灼熱感、排尿痛、排尿困難、残尿感、尿の濁りなどの症状があります。
原 因
湿熱が膀胱に侵入、あるいは辛いもの・酒・脂濃いものを取りすぎで、体内で湿熱を生じると、それが膀胱に影響して、膀胱の機能を乱れ、炎症を引き起こすため頻尿が起ります。
治療法
熱を冷まし、湿を取除き、頻尿を改善します。
処 方
五淋散・龍胆瀉肝湯など。

4. 心熱による頻尿(動悸・不眠など精神症状を伴うタイプ)

症 状
頻尿・排尿時の違和感で心配事や緊張により増悪、イライラ、不眠、動悸、口やのどの乾燥感など。
原 因
考えすぎ、悩み、煩躁など精神的ストレスで心に熱が生じると、それが膀胱に影響して、膀胱の機能を乱し、頻尿や排尿痛を起こします。
治療法
心の熱を冷まし、膀胱の機能を正常に戻し、頻尿を改善します。
処 方
清心蓮子飲など。

5. 肝気鬱結による頻尿(ストレスや緊張により、尿意を起こしている膀胱神経症タイプ)

症 状
頻尿と共に残尿感があり、尿量が少ない、ストレスや緊張によって症状がひどくなり、睡眠中に尿意はない、イライラ、怒りっぽい、憂うつ、女性では、生理不順、生理前に胸の張りと痛みなど。
原 因
気にしやすい・憂うつ・怒りすぎなど精神的ストレスや緊張により、尿意を起こして頻尿になります。
治療法
気を巡り、神経を安定させ不安を取除き、頻尿を改善します。
処 方
加味逍遙散、加味逍遙散+猪苓湯など。

6. 気虚による頻尿(尿道括約筋の機能低下により、尿意をがまんする事ができないタイプ)

症 状
頻尿・尿意をがまんできず・尿漏れ・尿色が薄く尿量は普通、疲労によって症状が悪化する、元気がない、疲れやすい、息切れ、少し動くと汗をかく、食欲不振・下痢しやすいなど。
原 因
平素胃腸虚弱、体力が低下している人で、過労あるいは疲労などにより気が不足になり、尿意をがまんできず頻尿・尿失禁を起こします。
治療法
気を補い、尿道括約筋力を強め、頻尿を改善します。
処 方
補中益気湯など。

7. 寒凝下焦による頻尿(下腹部や下半身の冷えを伴い、菌のない膀胱炎タイプ)

症 状
頻尿と共に残尿感があり・尿色が薄く透明、下腹部や下半身の冷えなど。
原 因
冷えによって膀胱が収縮して容量が小さくなるために、少しの量で尿意や残尿感を起こして頻尿になります。
治療法
体を温めて血流循環と水液代謝をよくし、頻尿を改善します。
処 方
当帰四逆加呉茱萸生姜湯・苓姜朮甘湯・当帰芍薬散など。